介護業界では、特にデイサービスなどで送迎が欠かせません。身体の弱い高齢者や障がい者などの送迎には、特別な配慮が必要です。
車椅子を使用する利用者のために、リフト装置が備えられた特殊車両が必要な場合もあるでしょう。油圧式等のリフト装置がある車なら、人力に頼らず車椅子ごと利用者を乗せられます。
こうした特殊車両を用意できない場合には、車椅子から利用者を降ろして座席に座らせ、車椅子用に別のスペースを確保する必要があります。
介護現場で行われる送迎については、介護スタッフの存在も欠かせません。走行中に発作や転倒など利用者に緊急事態が生じた際には、運転者だけでは対応できないからです。
介護スタッフが運転者を兼務することも少なくないのですが、可能な限り運転者は運転に集中することが求められます。利用者の自宅に到着した時には、運転者は車を離れず、介護スタッフだけが下車して利用者を連れて移動することが理想的と言えるでしょう。特に、複数の利用者の送迎を行う場合、車中に利用者だけを残すことは好ましくありません。
介護スタッフは利用者の家族と対面して、利用者の体調を聞いたり、利用状況を報告したりします。必要ならば、連絡帳や介護実践報告書等に記入して利用者家族に渡すこともあるでしょう。
複数の利用者を送迎する場合は、利用者の自宅の位置を考慮して、最短時間で効率的に送迎を完了できるコースを選択することが多いです。
利用者の中には車酔いしやすい高齢者もいるので、長時間車中に留めることは避けた方が良いでしょう。ただし、最短距離を選択することが効率的とはいえ、交差点の右折や視界が悪い狭い裏道の多いコースは、事故に繋がりやすく望ましくありません。そのような点にも考慮しながら運転する必要があります。